少子高齢化などが進み、労働者人口は減少傾向にある。そんな中で日本は今、国を挙げ「働き方改革」にチャレンジしている。兼業や副業、さらにはフリーランスのように時間や場所、契約形態にとらわれない柔軟な働き方。これらは、今後の働き方改革の鍵となると言われている。
この働き方改革の動きは、ここ1、2年で大きく動き出した。2016年11月には経済産業省が主導し「雇用関係によらない働き方」に関する研究会も発足し、「柔軟で多様な働き方に関する研究会」の報告書も公表されている。そのような動きの中で「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける会社をつくる」との方針を掲げ、クラウドソーシング事業で「働き方改革」に2008年から先駆けて取り組んでいるのがランサーズだ。
クラウドソーシングで働き方の選択肢を増やす
「副業やテレワークを進める世の中の動きはありますが、現段階ではやはり、ひとつの会社に勤め、定刻に出社するワークスタイルが一般的です。家庭をはじめなんらかの事情により出勤できないけど働きたい。日本には今、働きたいのに働けない人が増えています」と言うのは、ランサーズ株式会社 取締役CMOの根岸泰之氏だ。
正社員として企業に勤めるのも働き方の1つ、さらには副業やテレワークという形もある。「働き方の多様化を社会に浸透させていくことは不可欠」と根岸氏。ランサーズは、クラウドソーシングで働き方の新たな選択肢を創業以来ずっと提供し続けている。そこに昨年になり、政府が副業を進める号令をかけた。「利用者は劇的に増加しています。このトレンドの中で、働き方の改革をより加速させたいと考えています」と根岸氏は言う。
受け身のサポートだけでなく、積極的に働きかけるカスタマーコミュニケーション
ワーカーであるランサーにとってもクライアントにとっても、安心して仕事ができる仕組みを提供する。そのためには「例えば、仮払いの仕組みでお金のトラブルが起きないようにするなど、プラットフォーマーができることがたくさんあると考えています」と根岸氏。ランサーのモチベーションを上げるのは、まずは仕事の対価だろう。とはいえ多くのランサーとコミュニケーションをとると、期待されていることは直接的な報酬だけではないことも分かる。
フリーランスは基本的に1人で仕事をします。先輩や後輩、上司や同期は存在せず、ある意味孤独の中で、自分が市場の変化に追いついているのか、自分は成長できているのかなどの不安を持つ人も少なくありません。さらにはフリーランスで仕事を始めれば、自分で新たに会計や税務の処理なども行う必要があります。そういった専門外のものにどう対処すれば良いのかと最初は戸惑ってしまいます。(根岸氏)
フリーランスとして働く上で悩んだり困ったりすることを、ランサーズとしてサポートしたい。そのために「ワーカーであるフリーランスや、仕事を発注するクライアントとコミュニケーションをとり、疑問を即時解決する。同時に顧客のインサイトを探っています」と言うのは、ランサーズ株式会社 カスタマーコミュニケーション マネージャーの冨樫 謙太郎氏だ。
フリーランスやクライアントが、サービスを利用して発生する疑問や困りごとに対してサポートをするのが、冨樫氏が統括するカスタマーコミュニケーションチームの重要な仕事だ。「カスタマーコミュニケーションチームでは、サービスのサポートとして問い合わせに答えるだけでなく、自分たちからも主体的に声をかけ、顧客の“困った”に対して積極的に手を差し伸べるようにしています」と冨樫氏。
ランサーズは、仕事のプラットフォーム。フリーランスは仕事を請け負えばそれをなるべく早く終えたいと考える。クライアントも、いち早く依頼した仕事の成果を得たい。つまりは仕事を進める上で、スピードは大事な要素だ。
ランサーズを利用していて何らかの疑問や課題に直面し、ランサーズにそれを問い合わせて回答を得るのに時間がかかると、ランサーやクライアントの仕事を止めることになる。ランサーとクライアントの仕事を円滑に進行してもらうためにも「問い合わせに対する回答を迅速に行い、解決することで取引を円滑に進めていただけるようにしています」と冨樫氏。
カスタマーコミュニケーションチームでは、上記観点から問い合わせ対応を24時間365日の体制で行っている。対応は東京のオフィスにいるスタッフ、地方でテレワークで対処するスタッフ、さらにはアルゼンチンやスコットランドなど海外に住むフリーランスのスタッフもいる。「クライアントは日中の問い合わせが大半ですが、フリーランスは24時間いつでも問い合わせがくる。日本の営業時間外の問合せも早期解決するために、時差を活用した体制を整備しています」とのことだ。